沖縄タイムス・リレーエッセイ「どんぐりころころ」
第1回 平成18年7月7日掲載
「眼鏡とアイパッチ 突然の弱視宣告に動揺」
「お子さんの左目は、ほとんど見えていません」。そう言われた時の驚きは、今でもハッキリ覚えている。「すぐに眼鏡をかけさせて、アイパッチ(良い方の目に貼り、悪い方の目の視力の発達を促す大きなシール)をしてください」
眼鏡?うちの子、昨日3歳になったばかりだよ?それに目にシールを貼るって?シールを目に貼ってる子なんて、今まで一度も見たことないよ。先生が一生懸命「弱視」について説明してくれている間、私はボーッとそんなことばかり考えていた。夫の職場に寄り、「この子の左目、見えてないんだって。眼鏡をかけなくちゃいけないんだって。そしてね、毎日目にシールを貼らなきゃいけないんだって」。人ごとみたいにそう言った後、それが明日からの私達親子の話なのだという事実に突然気づき、夫の顔が涙で見えなくなった。
弱視治療中の親子を支えるグループ「あいぱっちくらぶ」代表の私でさえ、最初はそんなだったのだ。弱視というのは、眼鏡をかけても正常な視力がでない状態を指す。強度遠視や斜視、先天性白内障などその原因はさまざまだ。低視力のまま症状が固定してしまうと障害が残ることもあるが、早期に発見され適切な治療を行えば、正常な視力を得られることが多い。その治療に必要な「眼鏡とアイパッチ」を、多くの親はなかなか受け入れることが出来ない。
3歳児健診の受付で、「あら、もう眼鏡なの?かわいそうに」と言われ、何も知らないくせに!と唇をかんだ。買い物中の親子連れが、「テレビばっかり見ているとあんなになっちゃうよ」と話しているのが聞こえた時には、「この子は目の治療をしてるんです!」とにらみ返した。なぜかいつも神経がピリピリしていた。「眼鏡をかけてるだけで、カワイソウって言わないでよ!」。そう良いながら、3歳から眼鏡をかけることになった息子のことを一番カワイソウに思っていたのは、ほかならぬ私自身だったのかもしれない。
それから7年。息子が弱視だったからこそ経験出来たさまざまな出来事と人々との出会いが、私を少しずつ成長させていった。次回からはそんなお話を。
HOME