沖縄タイムス・リレーエッセイ「どんぐりころころ」

第3回 平成18年9月1日掲載

「眼鏡とアイパッチ / 弱視を知ることが一歩」

 

「眼鏡やアイパッチのことで、いじめられたりしないでしょうか。」入園予定の幼稚園で相談すると、先生はちょっと思案して、「一度お子さんを連れて遊びに来ませんか?」とおっしゃった。 数日後、眼鏡とアイパッチをした息子の手を引き園に行くと、「わぁ!眼鏡かけてる!」「メガネマンだ!」「ねぇ何で右目がないの!?」と思った通り大騒ぎ。ギュッと私の手を握り、硬直した息子を横目に、これから始まる園生活を思って、私の気持ちは沈んだ。

「そうだね、眼鏡かけて目にシール貼ってるね!どうしてなのか、お母さんに聞いてみようね!ではお願いします!」えぇ〜!!今ここで説明するの?!何の準備もしていなかったが仕方がない。息子は左目が良く見えないこと、眼鏡とアイパッチで訓練すれば、みんなと同じよく見える目になれるから、毎日がんばってること…考え考え、一生懸命説明してみた。

「聞いた?いい目になるためにがんばってるんだって!みんなで応援しようね!」と先生。「はーーい!!」と子供たちが返事をしたと同時に、さっき一番騒いでいた男の子が走り寄ってきてこう言った。「メガネマンって言ってごめんな!がんばれよ!」固まっていた息子の笑顔がはじけ、手を引かれて遊びの輪に加わっていった。男の子の変わり身の、あまりの早さに驚いて、ぽかんと突っ立ったままの私を見て、「子供たちは何も知らないから色々言うんです。ちゃんと教えてあげれば納得するんですよ。」と先生が笑った。

興味本位の目、それは「知りたい」という人間の欲求だ。そんな視線にたじろぐことなく、正面から受け止め応えていくことも必要なのだ。「テレビの見過ぎでカワイソウ」と思っていた人も、弱視という病気を知れば、意識が変わる。次に眼鏡の幼児を見た時に、向ける視線はきっと温かなものになる。「知る」は「理解」の最初の一歩。子供たちからそれを学んだ。

弱視について、もっと多くの人に知ってもらいたい。さまざまな理由で、赤ちゃんの時から眼鏡をかけてがんばっている子供たちのことを。「あいぱっちくらぶ」を立ち上げたのは、その年の夏だった。

 


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