(199.11.04)
約1ヶ月ぶりの病院だった。今日も万全を期して、とうちゃんは休みをとってくれている。今日何の検査をするのか聞いてはいなかたけれど、まだこなしていない視力検査をするのではないかというのが私の予想だ。
10時半の予約で、始まったのは11時15分。病院というのは待つ時間が長いというのはわかっているものの、この45分間というのは子連れには結構つらい時間だ。
「なるなるく〜ん」と呼ばれて検査室に入る。おっ、やっぱり予想通り視力検査をするようだぞ。よしよし、とうちゃんに来てもらったのはやぱり正解だったようだ。
なるなるの前に視力検査をしていた70歳ぐらいのおばあは、「上下左右」のかわりに、何故か「東西南北」を使う変わったおばあだった。「次、これは?」「えーと、西・・・かナ?」「西っていうのは左のことかい?」「そうそう、左。」「じゃあ、これは?」「えーと、北。」「ちがうよ、南だよ!」検査技師の方も笑いをかみ殺しながらの検査だ。
なるなるは自分の順番が待ち切れないぐらい張りきってる。「なる、やるー!」とソワソワ落ち着かない。ようやくなるなるの順番が来て、大きな切り抜いたCのおばけを貸してもらう。「いいかい、見えるのとおんなじようにしてごらん。」ははー、なるほど、上下左右が言えない子供には、そうやってやらすのか。なるなるは「Big C!」と大喜びだ。
まずは普通に両目でチャレンジだ。「こっち!」「あっち!」と順調だ。下から4番目ぐらいからはあやしくなったけれど、あれだけ見えてればいいだろう。次に左目だけが黒いレンズになった眼鏡をかけて、右目だけでのチャレンジだ。「こっち!」「あっち!」とこちらも快調に進んでいく。やはり下から4番目ぐらいの小さな記号になると、「しらな〜い」と言う。
さあ、次はいよいよ見えないほうの左目に挑戦だ。と眼鏡をかけさせたとたん、「ヤダッ!!」と暴れだした。とうちゃんがどんなになだめすかしても、「見えないっ!ヤダッ!!」と暴れ、ついには大泣きをし始めた。
これじゃあ無理だ、と一時退散し、待合室の隅っこで延々となるなるに話して聞かせる。最初は「こっちのメメ、見えないでしょ。検査して見えるようにしようね」と地道に言い聞かせてみる。「ウン。わかった。検査しゅる。」と素直に返事をするなるなるだけれど、いざ検査室に連れて入ると大泣きを始める。そして待合室に逆戻り。「検査しないとお家に帰れないんだよ。いいの?おとうちゃんとおかあちゃん、なるなるおいて帰っちゃうよっ!」と、だんだん説得にも脅しが入るようになる。その度になるなるも「ちゃんとしゅる、ぐっすん。」と涙をこらえてうなずくんだけれど、やっぱり検査室に戻るたびに大泣きだ。そんなのを4回ほど繰り返すと、さすがに「今日はもうダメだ。」と私達も諦めざるを得なかった。とうちゃんパワーも、今日はどうも効果がなかったようだ。
打ちひしがれた気分で先生と面接だ。「左はダメですかー。見えないからイヤなのかなあ、困ったねえ。」どうしようかな・・・としばらく考えていた先生は、「来月、あと一度だけトライしてみましょう。それでダメだったら、前回のレフの検査の数値だけを元に、眼鏡を作ることにします。」と結論を出した。可能であれば、やはり視力検査をして、レンズを合わせた上で一番ピッタリの眼鏡を作って治療をすすめてあげたい、と。
先生の話では、なるなるは左目と右目の視力差が大きすぎるので、眼鏡は2つ必要になるそうだ。一つはアイパッチをしている時にかける弱視訓練用の眼鏡で、もう1つは普段用の遠視を調整した眼鏡だ。弱視訓練用の眼鏡を普段かけると、左右の視力差で頭が痛くなってしまうらしい。
視力差ってどれくらいあるんですか、と聞いた私に、左目はプラス7です、と先生が言う。具体的にどれくらいかというと答えるのは難しいが、眼鏡を作るとすると、このレンズの厚みの半分ではきかないでしょうね。と言って、拡大鏡をとりだした。その拡大鏡の厚みは1.5cmほどもあった。
普段はどう見えてるんでしょうか、と私が聞くと、「普段は普通に見えてるはずですよ。」と言う。「だって、左目では見てないんですから。」と・・・
とりあえずは毎日のアイパッチをがんばって下さい、ということで本日は終了。「しぇんしぇい、またくるからねっ」と、帰る時だけにっこり笑顔のななるなるであった。