HPを公開してからもうすぐようやく5ヶ月になるのだけれど、たくさんのメールを頂いた。そしてこのHPの中でも、まるで日記のようなこのコーナーを読んで下さっている方が意外にたくさんいらっしゃることを知って驚いた。
自分のお子さんが弱視だ(だった)という方はもちろん、身内や友達に弱視の子供を抱える人がいるという人や、私自身が弱視でしたという人。あるいは他の障害を持った子を持ち悩んでいるお母さんとか。いろんな立場の人の話を聞くようになって、何て言うか、人の立場に立って考えることは本当に難しい、とつくづく実感している。
先日掲示板に、「弱視の子供がいる友達に、『私のつらさはあなたには分からない』と言われ、つらかった」という書き込みがあった。「私の気持ちはあなたにはわからないんだよ!」私も何度も何度も心の中でつぶやいたセリフだ。口には出せず、ただ涙が出てしまったり。そして、ふとこんなことがあったのを思いだした。
私の友人に、口唇口蓋裂で生まれた子供を持つ人がいる。出産の為に内地に帰り、その後1年手術の為にこちらに戻って来れなかった。初めて島に戻ってきて彼女とその子供に対面した時は、手術の後でまだ口にはガーゼがはられたままだった。そしてその次に会った時に初めて手術で閉じられた痛々しい上唇を見た。その頃はまだそれほど親しい間柄ではなかったし、しかも私は独身で、「子供を持つ親の気持ち」がどういうものかよく分からなかった。「かわいそうだな。大変そうだな。」とは思ったものの、そんなに深刻なものとは感じなかった。結局私は考えた末に、「命にかかわるような病気じゃなくてよかったですね」と彼女に言った。その時は、正直言って本当にそう思っていたのだ。もっと難しい病気の子供が他にたくさんいるんだから、と。
ヒドイことを言ったなあ、と今になって思う。
だって、命にかかわろうがかかわるまいが、その障害が大きかろうが小さかろうが、彼女とっては地球がひっくり返ってしまうかのような出来事だったはずなのだから。彼女にとってその子は2人目の子供だったけれど、それでもたった1人の大切な大切な子供に違いはない。そんな大切な自分の子供が、100のうちたとえ1でも、何か欠けているというのは、自分の身を裂かれるほどつらい出来事だっただろう。「よかった」と思えることなんて、その時何ひとつなかったはずなのだ。なるなるはご存知の通り左目が弱視だ。だけど右目は視力も1.0あり、とてもよく見えている。なので普段の生活に全く支障はない。目が悪い、と言ってもわかってくれない人が多い。わかって欲しいわけではないけれど、それでも「右目はよく見えてるんでしょ、だったらよかったね」とか言われると、「うん、よかった」と答えつつ、何故か少しムカムカする。「自分の子供がそうでも、『左目は悪いけど右目がいいからよかった』、そう思えるんかいっ?!」とつい心の中で思ってしまうのだ。
他の人にとってはちょっとしたケガと同じような、ほんのささいなことなのかもしれないけれど、自分が産んだ大切ななるなるが弱視だという事実は、私にとっては今まで生きてきた人生の中での一番ショックな出来事だったのだ。自分じゃない、自分の子供だからつらいのだ。治せるものなら100パーセントの完全な状態にしてあげたい。障害の度が大きかろうが小さかろうが、どの親も心の中で、深く深く思っていることだと思う。もしなるなるの視力があまりよくならなかったとしても(そんなことは考えたくないけれど)、これ以上はしかたがない、右目がちゃんと見えるからまあいいや、と思えるようになる日は、ずーーーっと遠い気がする。もしかしたらそんな日はこないのかもしれない。
今は弱視がわかってから半年がたち、なるなるが毎日をがんばるしかないんだと気持ちも落ち着いているので、ようやく人の励ましの言葉も素直に聞くことが出来るようになった。だけどやっぱり、私の気持ちは私にしかわからないものだと思う。私があなたの気持ちをわかることが出来ないのと同じように。あなたにとってささいなことが、私にとってものすごく大事なことだったり、私が「それくらい」と思うことが、あなたが涙を流すほど辛いことだったりする事実。人の気持ちを自分を基準に想像することなんて、結局は無意味なのだろうか?
「私の気持ちは誰にもわからない。」
人がそう思うとき、そう思う心の裏には、「わかってほしい」という願いにも似た気持ちが深い深いところに隠されている、と私は思う。だからこそ、私の気持ちを「わかってあげたい」と思ってくれる家族や友人がいること、そしてなるなるのがんばってる姿を見守って応援してくれたり、一緒に怒ったり喜んだりしてくれる人が、私達の近くに、そしてこのパソコンの向こう側に、たくさんいるということを知って私はとてもうれしいし、本当に幸せなことだと心から思っている。そういったみんなの気持ちに支えられながら、私は今こうしてなるなると一緒に楽しい毎日を過ごしてるんだと思う。
あなたにいい報告が出来る日が、必ず来ますように!!