半年ぶりに大阪に帰ってきた。例年は春に帰省するのだが、今年は初めて1月という真冬に帰省し、そして今度は7月。夏の大阪は何年ぶりだろう。なるなるは半年ぶりの大阪に大騒ぎだ。飛行機に乗れることに狂喜し、続いて久々のラピートとご対面、そして地下鉄ともうウキウキだ。町を歩くとあちこちでSALEの文字が踊っている。そうか、夏物バーゲンの時期なんだ!阪急百貨店でのぞいた子供服屋さんもムチャクチャ安くなっていて、おまけに石垣とは比べものにならない品数!(あたりまえ)なるなるに負けず、わたしも大興奮なのであった。
が、わたしは何もわざわざバーゲンのために大阪に来たわけではないのであった。
そう、なるなるの半年ぶりの検診のために、わざわざ片道3万円もかけて大阪までやってきたのだ。今回は早割切符を買う時間的余裕がなかったので、高くついてしまった。おまけに悩んだ末、小柄ななるなるに「2さい」と仕込んでダッコで来たのでつらかった。帰りはなるなるの席もとろう・・・実は、今月すぐに、予約を入れておこうと電話をすると、「院長先生は9月まで予約でいっぱいなんです。夏休み前後は混むんですよ」と言われてえーーー!!と大ショックだったのだが、石垣からわざわざ来るのなら、ということで、分院の方で初診扱いで診てくれるということになり、あわててやってきたのだ。朝9時から診察していると聞いたので、わが家から1駅の分院まで向かう。分院の方がずっと近いんで、そちらで診てもらえるのならちょうどよかった。9時ちょっと過ぎに着いたのに、待合室にはすでに5組ほどの親子がすわって順番を待っていた。さすが有名な先生は違うなあーと感心する。
本院の方と同じく、こちらでも数人の視能訓練士のお姉さん達がテキパキと働いていた。キレのいい大阪弁で、「こっち見てみー」「むっちゃ見えてんなあー!あんなちっちゃいのも見えてすごいなぁー!!!」「がんばりやーあとちょっとやでー」と明るく子供達を誘導している。なるなるも雰囲気に飲まれて、とても楽しそうに検査をこなしていく。子供がグズグズした時には、あちこちからサササッとこまごましたおもちゃが差し出され、子供が飽きないようにとの気づかいがすごい。前回も思ったが、やっぱりこういった「プロ」の人がいるのといないのとでは、全然違う。石垣では屈折検査と視力検査のたった2つだけの検査でさえ、グズグズイヤイヤで時間がかかるなるなるなのに、大阪では5つも6つもの検査を平気でニコニコとこなすのだ。
そして検査の結果が出る。
矯正視力は、5月の0.2から、さらに0.3に上がっていた。
そして今回初めて測った近見視力(目の前30cmくらいでの視力検査)では、0.4まで見えた。先生のお話しを聞きに、診察室に入る。「いや、上がってるねー!おどろいたなあー!がんばってるねえー!」との先生の第一声で、思わず笑みがこぼれてしまう。そう、この先生に、「こういったケースの子供は、難しい」と言われて落ち込んで、涙したのは半年前のことなのだ。そしていろいろな説明を受ける。この先生の話は声が大きいうえに話し方が乱暴というか、口が少々悪いので、1月に初めて診察を受けたときはちょっとビビってしまっていたのだけれど、こういう話し方の人なのだと思って聞いているとどうってことはない。話自体は的確でよくわかるし、疑問はすべて解消される。ああいう話し方は、弱視治療の第一人者であるというあふれる自信からくるのだ、というのがよくわかるようになってきた。
今回の先生の話はおおまかにこうだ。
視力が上がってきたということは、今まで眠っていた左目が、働こうと動き出したということだ。そしてよく見ようとがんばる分、目が内側に寄る斜視がひどくなってくる。斜視をなくすのに、もう少し眼鏡の度を上げようと思う。今まで左+6.0だったのを、今度は左+6.5のレンズを入れる。バランスをとるために、右にも+0.5の弱い度を入れることにする。このまま成長を続けて、どこまで斜視が残るのかは不明だが、手術をしなければいけないというところまではいかないと今は思う。・・・そして、うれしいことに、アイパッチの時間を減らしてよいと指示された。今まで1日8〜9時間していたのを、5時間まで減らしていいというのだ。5時間でいいなら、来年幼稚園が始まっても家に帰ってきてからの時間だけでよさそうだ。
先生は、「視力がどんどん上がってる今が勝負時だから、今度は3ヵ月で診せに来てくれますか。石垣から来るのは遠くて大変やろうけどねー、がんばって。」と続ける。3ヵ月後かあ、今年だけで石垣大阪の3往復ってことだ。キビシー!と思うが「しばらく来なくてよろしい」と言われるよりはよっぽどいい。その3ヵ月の間に、石垣で視力検査をしておいたほうがいいかと尋ねた私に言った先生の言葉がとても印象的だった。
「弱視治療は、治療とか訓練とか言うけれど、実際は『成長』なんです。身長や体重を、毎月神経質に測ってますか?測ってないでしょ?お母さんは、ゆっくり目が育っていくのを、あせらず楽しみに見守ってあげてるだけでいいんですよ」
なるなるの左目は、去年9月に弱視が分かった。
それが「誕生」だったのなら、今やっと9ヵ月分成長したってことなのだ。3ヵ月後、なるなるの目はどれだけ成長しているだろう。