(2001.02.05) ここ数年前まで、沖縄県はアメリカの教育の影響で、公立幼稚園は小学校入学前の1年しかなかった。そして、保育園は普通4歳児クラスまでしかなく、小学校入学前の1年は、全員幼稚園に通い、親が仕事をしている子供はお昼から保育園に通う。(沖縄ではこれが「学童」と呼ばれている。内地の学童に当たる、小学校下校後の保育システムは沖縄にはないようだ。)これを知った時は驚いた。だって、内地だと保育園からそのまま小学校に上がるなんて、ごく普通のことだし、幼稚園にしたって、普通2年か3年行くのが普通じゃない?1年か、なんか短いよな・・せめて2年だったらいいのにな・・・と思っていたら、ラッキーなことに、去年から私たちの住む。石垣でも少し田舎の辺りは、児童数確保のため、二年保育になったのだ。
しぇる一家の住む部落は、石垣のいわゆる「中心地」から、車で20分ほどのところにある。人口800人ぐらいの大きさらしい。その中に小学校があり、幼稚園は同じ敷地に併設されている。小学校は各学年1クラスのみで、だいたい1学年20人。多くなく、少なくなく、先生の目が行き届くいい人数だと私は思う。幼稚園は、5歳児クラスがやはり20名。(全員通うんだもんね・・・)4歳児クラスは、共働きで保育園を選択する親が多いようで、去年はたった2人しか入学しなかったそうだ。
幼稚園は家から歩いて3分という近さなので、私たちのお散歩コース。幼稚園・小学校を囲む壁は高さが50cmぐらいしかなく、出入りは自由だ。私たちもよくウサギに草をあげにいったりしている。当然たった一人しかいない幼稚園の先生とも顔見知りになり、今年から2年保育でお願いすることや、なるなるの目のことに対する不安なども何度か話す機会があった。
保育風景を外からのぞくことは何度もあったし、この部落に一生住む以上は、近所の子供のほとんどが通う地元の幼稚園に入れるつもりだったのだけれど、やはり眼鏡とアイパッチで通わせることに不安を感じる。幼稚園の先生に相談したところ、一度遊びに来て下さい、という話になり見学に行くことにした。前日にフライにしたにもかかわらずカキに大当たりし、生まれて初めての強烈な下痢を体験したところだったので、お腹に一抹の不安をかかえたまま幼稚園に向かう。
幼稚園は8時15分かららしいのだが、見学に行ったのは10時過ぎ。こんにちは、と教室をのぞくと、朝に草木染めをしたらしく、バケツにたくさん布が仕込んであり、子供たちは手を洗っておやつ(?)の牛乳の準備にとりかかっているところだった。
「せんせい、だれか来たよ!!」「あ、なるなるくんだ、なるなるくーーん!」「なにしにきたのー?!」たちまち子供達がどっとおしよせる。なにしろ小さな部落なので知った顔も多く、「一緒に牛乳飲もう!」「こっちに座って!」「いやだ、わたしといっしょに座るの!」となるなるはあっという間に連れて行かれる。そして、なるなるを初めて見た子供達は、さすがにアイパッチとメガネのに驚いたらしく、「何でメガネしてるの?」「目悪いの?」「メガネマンが来たー!!」「ほんとだメガネマンだーー!!」と大騒ぎだ。
「はーい、みんな座ってくださーーい!」先生が声をかける。当番さんのいただきます、のあいさつの後、先生がなるなるを紹介してくれる。
「なるなるくんは、4月から、この幼稚園に入ってくるお友達です。みんななるなるくんが入ってきたとき、『あれ、なんかみんなと違うなー』って思ったでしょ?」「メガネかけてるー!!」「ヘンなのつけてるー!!」「そう、なるなるくん、メガネかけてるねー。なんでかな、おかあさんに聞いてみようか、お母さんお願いします!」
えーーー!!
そうきたか。前から何度もなるなるの目のことは話してあるから、先生が説明してくれるものとすっかり思いこんでいたので、あせるしぇるである。
が、仕方ない。小さなイスに座ってちゅーちゅーとのんきに牛乳を飲んでる場合ではないということは私にもわかるので、立ち上がってぶっつけ本番で話を始める。
「みなさん、よく聞いてくださいねー。なるなるくんは、あかちゃんの時から、左の目がみんなよりすこーーしだけ見えません。だから、メガネをしています。そして、右の目にアンパンマンがついてるでしょ?あれで右の目をかくして、見えない方の目で見る練習を、一生懸命しています。毎日一生懸命練習したら、ちょっとずつ、ちょっとずつ、よく見えるようになってきて、小学校に入るころには、みんなとおんなじぐらい見えるようになるかもしれません。なるなるくんは、こうやって、目がよくなるように、毎日がんばってるので、みんな応援してくださいね!」
事前準備がなかったので、これくらいしかいえなかったけど、子供達はわかってくれただろうか。
「みんな、なるなるくんのおかあさんのお話、わかったかなー?なるなるくん、がんばってるんだね、がんばったら見えるようになるんだね、みんなで応援しようね!」と先生がフォローする。「さっき、初めて入ってきたとき、みんな知らなかったから、『メガネマン』なんて言っちゃったよね。なるなるくん、メガネマンって言われて、どんな気持ちがした?」
とこれまた突然なるなるにふられて、なるなるは目を白黒させている。
「いやだった?」
「・・・・」
「いやだったよね!?そうだよね!?!」(固まってしまったなるなるが「ウン」と言わないので先生ピンチ)
「みんな、なるなるくん、メガネマンって言われて、いやだったって!!」(とうとう勝手に決めつけられた(笑))
「みんな何でメガネかけてるか知らなかったから、メガネマンって言っちゃったけど、どうしてなるなるくんがメガネかけてるかわかったから、もうメガネマンなんて言わないよね!なるなるくん、がんばってるんだもんね!!みんなで応援しようね!!」
「はーーい!!」
とみんなが大きな声で返事をしたと思ったら、さっき「メガネマンが来たー!」とはしゃいでいた男の子達数人がなるなるのところに走って行って、「メガネマンって言ってゴメンね!がんばってね!!」とあやまってくれた。すっかり硬直状態だったなるなるも笑顔がはじける。もちろん私も、ものすごくうれしかった。
子供達がなるなるの手を引いてわっと遊びに出てしまってから、先生ともう少し話をする。
「子供達は、知らないから、からかったり、ひどいことを言うんです。でもね、どうしてか、ってわかったら、もう何もいいません。だから、安心して下さいね。」
メガネやパッチのことでいじめられたら、とずっと不安に思っていたけど、みんなに連れ出されて元気に遊ぶなるなるを見ると、心から安心する。子供達は、私が思っているよりずっと大人だ。
今一緒に遊んでいる5歳児達は、4月になったら小学生になり、新しい5歳児が20人、保育園からあがってくる。なるなるを含めた4歳児は、きっと今年も4〜5人と少ないだろうけど、入園の挨拶の時には、今日のことをふまえて、なるなるの新しいお友達に、もっと上手になるなるの目のことが説明出来るように、考えておこう!!