2000.04.01 「幼稚園の入園式はブレザーとか着る子もいないし、普通でいいですよ、普通で。」と先生に言われていたのを間に受けたのはどうやら私たち親子だけだったらしい。暑いので確かにブレザーまで着た子はいなかったけど、女の子はみんなぴらぴらワンピース、そして男の子もきちんとワイシャツなんか着てネクタイまで締めている。一応、新調(?)したのだけれど、黒い半ズボンに真っ白なポロシャツで入園式に臨んだなるなると、スーツ姿のお父さんお母さんたちに混じって、「ちょっと小綺麗な普段着姿」という私たち親子はかなり浮いていた・・・
とはいえ、5歳児21人、4歳児8人のこじんまりした幼稚園だ。準備していたテープがバラバラで手際が悪いのもご愛敬。明るく元気なベテランの先生と、今年短大を卒業したばかり、今日がデビュー戦という、ガチンガチンになった新人先生のでこぼこコンビが笑いを振りまいている。
式次第にあった国歌斉唱はなぜか飛ばされ、校歌斉唱から式が始まる。
校長先生のごあいさつでは、子供達に1冊の絵本を簡単に読み聞かせる。それは、「にじいろのさかな しましまをたすける」という本だった。「見たことありますかー?」と校長先生が声をかけると、なるなるがいきなり立ち上がって振り向き、「おかあちゃーん、なる、みたねー?!」と大声で叫ぶ。もー、穴があったら入りたいくらいだ・・・。きらきらの鱗を持つ魚達の中に、光る鱗を持たないしましまの魚が一匹。いつも仲間はずれにされている。にじうおはしましまと仲良くしたいのだけれど、他の魚の手前、仲良くすることが出来ずにいる。そんな時、しましまが鮫に襲われ、それを穴から見ていたにじうおが、思い切ってしましまを助けに行く、それに続いて他の魚たちも・・・そんなお話だ。
今年は、アイパッチと眼鏡をつけたなるなるがいる。そしてもう一人、お友達のダウン症の女の子が一緒に入園した。しましまは、なるなるとその子のことだ。と本を読む前から、私はすぐにわかった。校長先生は遠回しに、他の子供と違う子供たちに偏見を持たないよう、子供達に話して聞かせてくれたのだ。子供達にはわからなかったかもしれないが、式に参加した親たちはどうして校長先生がこの絵本を取り上げたのか、すぐにわかったようで、教室になんだか暖かい空気が広がった。
式は拍手と笑いの中で終わり、カメラ屋さんが来ての記念撮影に入った。眼鏡が光ると思ったのか、パッチのまま写真を撮るのがかわいそうと思ったのか、みんながきちんと並んだ時にカメラ屋さんが、「眼鏡、はずさせますか」と先生に声をかけた。思わず私が「いいんです、そのままで」といいかけた瞬間、「なんで?プーさん、格好いいのに!外さないよね!」と先生がにっこり笑ってなるなるに声をかけてくれた。いい先生にあたったな・・・とうれしくなった。
式が終わり、子供達が外で遊んでいる間に、担任の先生から細かな説明があり、終わりになるなるの目のことと、ダウン症の女の子の説明をしてくださった。そして、入園のしおりの最後には、私も大好きなこの詩。
いい園に入れて、本当によかった。
わたしと小鳥とすずと
わたしが両手をひろげても、
お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、
地面をはやく走れない。わたしがからだをゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように
たくさんのうたは知らないよ。すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。童謡詩人 金子みすず